安廃論と「塁打の新概念」が似すぎている…【効率的な打順の組み方】
↑ この本の107ページに驚くべき記載があるのを見つけてしまいました…
・広島打線の強力さを証明する「塁打の新概念」
と題された、この項。私が第一に感じてしまったのは、
「これって…」
「これって…安廃論じゃん!?」
「打撃獲得塁打」という新しい概念を用いて打者の真の実力を数値化する、と書いてありました。
たとえば走者一塁で単打して一・三塁になれば、自分の塁打1に走者が2つ塁を進んでいるので打撃獲得塁打を3とする。走者二塁で本塁打を放てば、打撃獲得塁打は4+2=6となる。塁打の本質を考えるならば、他走者の進塁分も考慮すべきだからだ。なお走者なしの場面で単打を放ち、相手エラーがらみで二塁へ進めば、打撃獲得塁打は2となる。
また走者一塁などで併殺打のケースは、自分の塁打0にランナーがアウトになったためマイナス1とする。
最後のケースは若干違いますが、ベーシックな部分は、まんま「安廃論」。
千葉マリン26マイラーの安廃論のページを参照してみましょう。
走者1塁で走者を進めることと、走者3塁でホームに迎え入れること、どちらの方が難しいのか?
打点王と犠打王。別に何も特別なことじゃないんだ
得点圏打率という無意味な指標
これがベーシックな考え方なんですが、2012~14年ころに書いたエントリーです。たとえば…
斎藤隆が、1死1塁でプイグがレフト方向に打球を運んでいるのに、1塁走者を3塁へ行かせてしまったことに対して、密かに問題視していた。
右打ちなら致し方ないが、引っ張られて2つ進まれている…
安廃論的なアプローチですね。打球方向がどうあれ、1塁走者を3塁へ進めるところへ打球を運べたら「+2」。その打者の進塁能力の高さは、単純にこうカウントしていけばいいのだ。走者を1つ進められたのか、2つ進められたのかは、だいぶ違うはずなんだが、ここに関しては置き去りなまま、得点圏打率でその打者の勝負強さを論じるなんて、ちゃんちゃらオカシイでしょ?
(千葉マリン26マイラー「得点圏打率という無意味な指標」)
ここに書いてあるように、2つ進塁した当たりに対して「+2」付けて記録することによって、打者の本当の価値を測れることを、既に2014年の段階で力説して参りました。つまり「打撃獲得塁打」と全く同じ概念なんですよね…おんなじ考え方をされていた方が前からいたのか、あるいは…いやいや変に勘ぐるのはやめましょう。
専門でデータを取られている方は、こういったデータを集めることも可能なんですね(既存指標をこねくり回しては得られないデータですから、独自に採集したのでしょう)。セパの打撃獲得塁打ランキングと、10打席あたりの打撃獲得塁打ランキングが掲載されておりました。セの「10打席あたりの…」の1位から6位までを広島勢が独占している結果となりました(1位松山、2位エルドレッド、3位鈴木、4位バティスタ、5位丸、6位新井)が、「安廃論」は出塁能力と進塁能力をミックスさせることによって、打順の組み方を考察できるものと信じておりましたから、この結果に何の驚きもありません。田中、菊池の「出塁能力」と、3番丸以下の「進塁能力」が高いレベルで融合しているのですから(そりゃ4番新井さんの「犠飛」数も伸びて、福浦も抜かれるっちゅーの!)
開幕戦を見ていて思ったのですが、前評判の高かった楽天打線ですが「安廃論」的には、かなり「バランスの悪い打順の組み方」をしているように見受けられました。
本当はもっと時間を割いて、この事についても書き上げたいと思っていたのですが、ネタブログゆえにネタに走る部分に注力しすぎた結果、先を越されてしまったのかもしれません。
田尾イチロー連合軍に「喝!」安打王ハンター その2
でも、こんなネタを書けたら満足してしまっていた過去の自分に…喝!
>グランクランさん
書き込み、ありがとうございます。
そうですね、俊足系の選手が塁上にいると、一気にシングルで2つ塁を奪えるケースが増えてきますよね。「一・三塁」がエンドレスで続くような状態が理想的です!
他の方とは違う切り口で野球を知ることができるmansengoさんのブログをいつも楽しみにしています。
今回の記事、とても興味深かったです。今年の井口ロッテはまさに足を使って獲得塁打を伸ばしているとオープン戦から開幕3連戦を見ていて感じました。今シーズン後、去年と比べてこの数値がどうなるのか。今年のマリーンズとても楽しみです。